幸せなノーガード戦法 ゲシュタルト療法
お客:ウサ田さん、久しぶりに、お手紙が来ております!

ウサ田さん、お客さんはじめまして。実は、私もHPを運営しているのですが、時々、メールで中傷されます。「あなたの主張は間違っている!」といった感じのメールです。メールを見た瞬間は、とってもムカムカしてしまい、思わず返信ボタンを押して、相手をなんとか論破しよう、返り討ちにしてやろう、ねじふせてやろう・・・そう思うのですが、書き終えた後から、だんだん自己嫌悪に陥ります。

(中略)

とはいえ、メールには返信するのが義理かとも思います。しかし、反論も書けないし、一体何を書けばいいのか、とても苦しくなります。こういう時、どうすればいいと思いますか?
ウサ田:なるほど、この方はとても優しい方だとお見受けするウサね。

お客:そうですよねぇ。もしもコレが美和明宏だったら「黙れ小僧!」(「もののけ姫」のオオカミ風に)でオシマイですもんね!

ウサ田:ある意味、男らしい(?)けど・・・なかなかそうは言えないウサね。ちょっとお返事とはズレるんだけど、このお手紙を読んで、リンカーンの話を思い出したウサ。

お客:リンカーンっていうと、アレですか?もみあげの人?

ウサ田:た、確かにもみあげっていうかヒゲとモミアゲが繋がってるけど・・・リンカーンは、かつて南北戦争の時、自軍のミード将軍が追い詰めた敵軍を見逃した事に怒り狂い、非難の手紙を書いたんだウサ。でも、彼はそれを投函しなかった。デール・カーネギーは本の中で、その時のリンカーンの心を以下のように想像しているウサ。

「待てよ、これは、あまり急がないほうがいいかも知れない。こうして、静かなホワイト・ハウスの奥にすわったまま、ミード将軍に攻撃命令をくだすことは、いともたやすいが、もしもわたしがゲティスバーグの最前線にいて、この一週間ミード将軍が見ただけの流血を目のあたりに見ていたとしたら、そして、戦傷者の悲鳴、断末魔のうめき声に耳をつんざかされていたとしたら―――多分、わたしも、攻撃を続行する気がしなくなったことだろう。もしわたしがミードのように生まれつき気が小さかったとしたら、おそらく、わたしも、彼と同じことをやったにちがいない。それに、もう万事手遅れだ。

なるほど、この手紙を出せば、わたしの気持ちはおさまるかも知れない。だがミードは、どうするだろうか?自分を正当化して、逆にこちらを恨むだろう。そして、わたしに対する反感から、今後は司令官としても役立たなくなり、結局は、軍を去らねばならなくなるだろう」

引用:「人を動かす」デール・カーネギー
お客:ほぅほぅ・・・要するに、手紙を書く事だけでなく、それを相手が読むという結果も予測して、やめたんですな。さすがもみあげ!立派じゃん!!

ウサ田:とはいえ、リンカーンも若い頃は荒れていたというし、いきなりこんなに寛容になるのも難しいウサね。・・・・何より、リンカーンには志があった。そのために自分の気持ちを飲み込んで、結果を求めたわけだから、普通に生活している時にまで、そんな事をする必要は、必ずしもないウサね。

お客:ほぅほぅ・・・

ウサ田:というわけで、今回は、リンカーンほどじゃないけれど、こういう場合、どうすればお互いベターなのか、って事で「ゲシュタルト療法」の基本的アイデアを扱うウサ。

◎ゲシュタルト療法とは?

お客:ゲシュタルトって・・・西洋菓子?りんごのゲシュタルト・初夏のさわやか高原風でゴザイマ~ス!みたいな。

ウサ田:ちょっと違うウサね。ゲシュタルトというのは、パールズという人が始めた心理学の療法で、ドイツ語で「統合」という意味なんだウサ。ちょっと、下の図を見て欲しいウサ。・・・・何に見えるウサ?
a0017407_21728.jpg

お客:裸婦だーーーー!!恥かしそうにしている裸婦がひとり!ふたり!さんにん!!スッパダカやーーーん!!!

ウサ田:ら、裸婦以外に見えないウサ?

お客:・・・・見えませんな。

ウサ田:一番右側のは、おじさんの顔に見えないウサ?

お客:・・・・見えませんな。

ウサ田:えーーーと・・・・見えるって言って!!!

お客:み、みえます・・・

ウサ田:そうウサね。このように、人は物を見る時、部分部分を統合し、そこに意味を見出して、解釈する事で理解するウサね。これは、図を見る時もそうだし、過去の自分の経験や、自分の周りの状況を理解する時も同じだウサ。

お客:ふむふむ。どうせなら裸婦ばっかり見ていたいですな!

ウサ田:でも、現実には、悲しい状況やつらい状況だって起こり得るウサ。例えば、自分の書いたHPの内容に、中傷を浴びせられたり・・・・

お客:うおっ!?手紙の内容ですな!?・・・・まぁ、アレですな。気にしない気にしない、って事で。もしくは「黙れ小僧!」って感じで。

ウサ田:みんながお客さんみたいに単純な脳みその構造をしていたらいいんだけど、そうもできない人だっているんだウサ。「なんでこんな事が起きたんだろう・・・」「私の何がいけなかったんだろう・・・」「これからどうすればいいんだろう・・・」「私は、どうすればいいんだろう・・・・」そんな風に、悩んでしまうウサね。

お客:うーむ。なるほどなるほど。・・・・まぁ、僕もね、わかりますよ。僕もさっきの絵を見て、「この裸婦は何歳なんだろう?」「この裸婦は何カップなんだろう?」「この裸婦を反対側から見れないだろうか?」・・・・そんな風に、悩んでしまいました・・・

ウサ田:幸せな悩みウサね・・・・んで、こういう時の考え方・対処法のひとつが、ゲシュタルト療法にあるんだウサ。ゲシュタルト療法は、元々「未解決の問題」や「未完了な感情」に対して、気づきを得ていく事で、不安な状況を解していく方法なんだけど、こういった例でも簡単に適応できるウサ。

お客:ほぅほぅ。

◎いま、ここに!覚知する事だけを!

ウサ田:まぁ、さっきのお手紙の例の解答をいきなり言っちゃうと、「正直に、今感じている事を書く」ってのが、最も苦しまずに、そして悩まずに済む方法ウサね。

お客:・・・・ちょ、ちょっと待ってください。それじゃ、リンカーンが文句の手紙を書いちゃって、出しちゃうのと同じなんじゃないですか?

ウサ田:ううん、それは違うんだウサ。リンカーンがミード将軍に怒りの手紙を出す事、それは、必ずしも、「今、ここに感じたこと」を書いているわけじゃないんだウサ。

お客:え?そうですか?

ウサ田:よく考えてみるウサ。・・・・リンカーンは、ミード将軍の行為が、「今後、戦況の悪化や長期化をまねくであろう」と予測し、それに対して「二度と同じマネをしないよう、釘をさしておきたい」という考えがあったはずなんだウサ。実際に、手紙の中でも、非常に理論的かつクレバーに、その点についてネチネチ書いているんだウサ。

お客:ほぅほぅ・・・・んで、それがいけないんですか?どうして?

ウサ田:それは、相手の事を思いやって発言しているようで、相手に自分のアイデアや意見を押し付けている事でもあるウサね。でも、ちょっとまった!!・・・・そもそも、怒り狂った状態で・平常心を失った状態で、正しい意見や指摘ができるかどうか・・・・よく考えてみるウサ。

お客:でも、戦争の長期化を招こうとしてるのなら、それはどう考えたってダメですよ?そんなのは自明ですから、正しい指摘じゃないですか?ふふん、僕だってかつてゲームの「三国志シリーズ」で中国統一を成し遂げたんですからね?

ウサ田:確かに内容は正しいかもしれない・・・・でも、言い方は?人間は知性だけでなく、感情も持つ存在ウサね。内容的には正しくても、感情を逆撫でしては、決して正しい指摘とは言えないウサ。リンカーンは、その点に留意して、手紙を出さなかったんだウサ。ゲームじゃ感情はなかなかシュミレートできないウサね。

お客:ふ、ふむ・・・・!!

ウサ田:でも、普通はそこまで深く考えられないウサ。だから、いっその事、正直に「今、ここで感じている事」だけを伝えればいいんだウサ。解釈も意見も加えず、「私は、今、○○○○と思いました」と答えるんだウサ。

お客:ほ、ほぅ・・・・

ウサ田:例えば、以下みたいに。

ご指摘のメールはありがとうございます。私は、このメールを頂いて、どうお答えしていいか戸惑っています。批判を受けて悲しく感じています。でも、自分の書いた内容について、必ずしも正しいと言い切る自信もありません。どうお返事をすればいいのか、迷っています。
お客:しょ、正直な気持ちのこもったメールですねぇ・・・

ウサ田:人間は、意見には意見で対応するし、理論には理論で対応しようとするウサ。同様に、感情には感情で。このメールを受け取れば、少なくともこれ以上の理論的な指摘は来ないウサ。何より、読んだ相手が「あぁ、この人は困っているんだな」と思うウサね。もしも返答として反論が書いてあったら、敵対心を抱くかもしれないし、メールを返さなかったら、無視されたとして怒り狂うかもしれないウサ

お客:そ、それもそうだ・・・・ある意味ノーガード戦法の勝利ですな!!!

ウサ田:そうウサね。ゲシュタルト療法自体は、グループワーク(エンカウンターグループ)を中心とした、結構技法的に高度な療法だけど、考え方自体はとってもシンプルなんだウサ。是非、この「いま、ここに」というアイデアを頭の片隅に入れておけば、もうちょっとリラックスして生きられるかもしれないウサね。

お客:よーし、僕も頭の片隅に、入れておこう。

ウサ田:君はきっと必要ないウサ。

お客:そ、それって誉めてるんですか?
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by uzada | 2004-06-29 02:18 | 心理学・カウンセリング
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