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どこで買い物する?(ライリーの法則・修正ハフモデル)
お客:うーん、めんどくさいなぁ、えい買っちゃえ。

ウサ田:どうしたウサ?

お客;あぁ、ウサ田さん、今、通販サイトでヘアジェル買ったんです。

ウサ田:へぇ、そうなのウサか。

お客:でも、ホントはマツモトヒトシとかで買えば、だいぶ安いんですけどね。

ウサ田:どれくらい違うウサ?

お客:マツモトヒトシで同じ商品を買うと、だいたい800円で、ポイントが40円分たまります。でも、さっきの通販だと、900円で、プラス配送料300円かかります。だから、えっと・・・合計で440円も割高です。

ウサ田:うひゃ、だいぶ違うウサね。

お客:まぁ、配送料は何品買っても同じ料金なので、ヘアジェルを2つ買いました。

ウサ田:なるほどなるほど・・・それと関係して、最近思っている事があるウサ。

お客:なんでしょう?

ウサ田:商品を買うとき、どんなお店で買うウサ?・・・同じ商品が買えるとしたら、お店を選ぶ基準は?

お客:そうですねぇ・・・安さとか、あと家とかからの近さとか、お店の入りやすさとか。そんなもんですかね。

ウサ田:順位をつけてみるウサ。「安さ」「利便性」「サービス」の三つを順位つけると?

お客:まぁ、一番は「安さ」ですよね。次が「利便性」最後に「サービス」かな。

ウサ田:まぁ、そんなもんだと思うウサ。・・・実は、販売管理の有名な法則で「ライリーの法則」と「ハフモデル」というのがあるウサ。

お客:『雨の日にかぎって傘を忘れてしまう』みたいやヤツですか?

ウサ田:それはマーフィーの法則ウサね。まぁ、簡単に説明すると、ライリーの法則は、『二つの都市の中間にある小都市に関して、顧客吸収力の比は人口に比例/距離の2乗に反比例する』というものウサ。

お客:うーん、ワタシ日本語ワカリマセン。

ウサ田:簡単な例を挙げるウサ。

A市 ←10㌔→ Z街 ←5㌔→ B市
(500百人)  (9百人)  (100百人)

このとき、Z街の市民900人のうち、A市とB市それぞれに行く割合を示すと、

A市=500÷(10の2乗)=5
B市=100÷(5の2乗)=4


よって、A市=5百人・B市=4百人 となる

お客:ほ、ホントですかコレ?必ず5百人きっちり行くんですかね?

ウサ田:あくまでモデルウサ。商圏の潜在購買力の計算などに使うけど、まぁ、規模が大きくても、距離が遠ければ人は来にくい、って事ウサ。これが、「商店の面積」を対象にしたものが、修正ハフモデルなんだウサ。

A店 ←10分→ 消費者F ←20分→ B店
(100坪)                    (400坪)

このとき、消費者FがA店・B店それぞれに行く可能性は、
A店=100÷(10の2乗)=1
B店=400÷(20の2乗)=1


よって、A店・B店に買い物に行く可能性はともに50%である。

ウサ田:いってみれば、家から5分のパパママストア(売り場面積300坪未満)と、家から30分の大型GMS(売り場面積300坪以上~)における、力関係と同じウサね。

お客:でも、商品が全く同じ・価格も全く同じっていう状況を想定してるんですよね?コレ

ウサ田:そうなんだウサ。・・・でも、さっきのお客さんの話の通り、価格面も考えると、より広範にこの「修正ハフモデル」が使えると思うんだウサ。

お客:はぁ。どういう事でしょう?

ウサ田:要するに、修正ハフモデルやライリーの法則では、「お店まで(市街地まで)の距離」を時間的コストとして換算しているわけだウサ。・・・安売りか普通の値段かの差も、突き詰めて考えればコストでしかないウサ。品揃えのバリエーションは「より効用の高い商品があるかもしれないという可能性を無視するコスト」とも考えられるウサ。

お客:ちょっとまってください。効用って?

ウサ田:ミクロ経済学では、消費者の行動原理は「効用の最大化」にあるとしているウサ。効用っていうのは、商品(財・サービス)を買って、使った事による心理的充足感の事ウサね。ようするに、「消費者は商品を買う事でより多く満足するために行動する」って事ウサ。

お客:ふむふむ。

ウサ田:んで、それで、要するに、コストバランスによっては、「割高なウェブショップ」や「品揃えの良くない近所のパパママショップ」が「品揃え・価格競争力の高い遠くの大型総合ショッピングセンター」に勝る計算となる、って事ウサ。

お客:・・・そ、そうですかね?

ウサ田:さっき、君が迷いながらも、440円も高くヘアジェルを買ったのもその一つの証拠じゃないウサ?

お客:まぁ、さっきはたまたま買いましたケド。

ウサ田:というわけで、公式化すると、こうなるんじゃないかウサ?

お店の選定基準=価格競争力÷時間的コスト×品揃え


お客:えらく当り前な感じの公式ですね。

ウサ田:まぁ、改良の余地があるケド。

お客:んで、この当り前で何を言いたいんですか?

ウサ田:ムカッ。・・・まぁいいウサ。現行では、ウェブショップとコンビニやGMSは競合しないと言われているウサ。しかし、十分に競合し始めると思うって事ウサ。逆にいえば、競合するのなら、お互いから学びうる事があるという事ウサ。

お客:はぁ。今度から、お店言っても、店員さんをクリックしてみようって事ですかね。レジのおばちゃんをクリッククリック!!

ウサ田:そうじゃないウサ。それぞれの業態の良い部分を取り入れられるんじゃないか、という事ウサ。下に例を挙げるウサ。

<価格競争力>

先進者→総合GMSの強力なバイイングパワーとローコスト経営による徹底的な安売り。大きく分けて、一定期間ごとのセール開催によるイベント性の向上と来店頻度の向上促進(ハイロープライシング)。もしくは毎日そこそこに安い「EDLP(エブリデーロープライス)」による、コンビニエント性の高い安さの演出による来店頻度の向上

<時間的コスト>

先進者1→地域のパパママショップやコンビニエンスストア。お店に行くまでの時間的コストが安いだけでなく、店内でパパっと品物が買える便利さ。パパママショップの場合は店員とのコミュニケーションにより、「何が欲しいか」の疑問に即座に解答が出てくる。それによる「パートナー」としての信頼獲得。

先進者2→ウェブショップ。24時間・365日、好きなタイミングで好きなだけ買い物ができる利便性。お店に出かけていくという時間的コストがゼロであるがゆえに、忙しい消費者にとっては買回品から最寄品まで幅広くニーズを取り込める。

(※:買回品:家具など、時間をかけて買うもの。最寄品:食品など、日々の生活に使う身近なもの)

<品揃え>

先進者→地方の総合GMSやパワーセンター、カテゴリーキラーなど。価格競争力に加えて、商品のバリーエションを揃える事で「あそこに行けばなんでも揃う」という顧客への信頼性を獲得する。昔は百貨店が担っていたが、今はマツモトキヨシやドンキホーテ、イオンなどが担う。

お客:これらのイイトコをみんな、見習え、と。

ウサ田:そうウサ。

お客:うーん・・・まぁ、理想としてはいいんですけどね。どうやって?

ウサ田:またそれは考えるウサ。とりあえず、安さだけが全てじゃない、って考え方。安さの影で消費しているコストがあるぞ、って考え方を頭に入れた上で考えてみようかなぁ、って事ウサ。決して「安さ一番・便利さ2番・品揃え3番」じゃないんだウサ。

お客:それが言いたかったんですね。
by uzada | 2004-05-09 01:28 | マーケット・販売
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